プロジェクトマネージャの愚鈍

まっとうなプログラマは、プログラムを安全かつ効率的に構築するための様々な技法を習得する。

それは純粋なコーディング手法そのものであったり、秀逸なライブラリやフレームワークの使用方法であったり、あるいはソースコード管理システムであったり、開発環境であったり、もっと根源的には開発言語であったりする。

そういった物を全て纏った状態がそのプログラマの本当の戦闘力になる。

にもかかわらず、プロジェクトマネージャがマネジメントを行うにあたってそれらの武器の使用を制限してしまうことが往々にしてある。 制限しなければならない理由が正当であれば仕方ないが、それがプロジェクトマネージャの幼稚さ故であった場合、プログラマはいくつもの武器を失う危険をはらむ。 例えば使用するフレームワークについてシステム要求を考慮せず、よく知らないのに流行で選定して指定する事はよく聞く。 あるいは、開発環境を統一するという名目で使用するIDEを限定したりする。そこに意味はほぼ無い。 おかしなコーディング規約を制定してプログラマを苦しめるのも日常茶飯事だ。

プログラマは身を守るためのまともな武器を装備できずに戦場で敵と戦わなければならない。 本来そのプログラマの戦闘力を高めるための武器が奪われているのだからどうしても苦戦する。

その様をみてプロジェクトマネージャーは呆れ、時に激怒する。 「どうしてこんなに時間がかかるんだ!?」と。

自分が羽をもいだトンボが地べたを這いつくばるのをみて「こいつ、遅せーw」と嘲笑う子供のようなものだ。

「包丁一本さらしに巻いて」、料理人の世界では当たり前のことだと思う。 作る料理がどんなに変わろうと、道具だけは自分が使い慣れた物を使う。だから旨い料理が作れる。

スーパーで買ってきた2000円の文化包丁で料理させた料理を食べて「この料理人大した事ないな」とあなたは言うのだろうか?

あなたがプロジェクトマネージャなら、自分がトンボで遊ぶ幼稚な子供でないかを常に考えたほうが良い。